斜面樹林地でイノシシ対策用の金属柵「イノシッシ」を設置するコツとは ?こんにちは「鳥獣被害対策.com」の井上です。

今回の鳥獣被害対策の知恵袋は、斜面樹林地
など複雑な地形での、イノシシ対策用の金属
柵「イノシッシ」を設置する際に、気を付け
ておくべき点についてまとめてみました。

施工場所は、神奈川県大磯町です。

実は最近、この大磯町周辺でのイノシシ害の
相談が多くなってきています。

なぜ、大磯町に?

と、私なりに考えてみると、大磯町は緑地の
末端にあるから?
という疑問が湧きてきました。

つまり、大磯町は丹沢山塊から南東側に伸び
る緑地丘陵帯の末端にあり、これ以上南側に
行けば相模湾、東側は市街地になっているの
で、行き止まりになっている?とも、読み取
れます(あくまで私的な見解です)。

神奈川県大磯町地図01
参考:googleマップ

ちなみに、大磯町と平塚市の境界に位置する
場所には、高麗山公園・通称「湘南平」と呼
ばれる夜景スポットがありますが、先日、も
しや?と思い、調査に出かけたところ・・・。

神奈川県大磯町地図02
参考:googleマップ
至る所に、イノシシの掘り返し跡や、糞がみ
られました。
売店の方に話を聞いたところ、「イノシシは、
昔かいたけど、ここ数年で急に見かけること
が多くなった。日中も道路脇とかで見かける
ことがある」とのこと…。

湘南平(高麗山公園)イノシシの掘り返し
湘南平(高麗山公園)で多数みられる
イノシシの掘り返し

湘南平の夜景
湘南平の夜景は本当に綺麗です

ちなみに、今回の施工場所でも、自動撮影カ
メラによるイノシシの出現状況を確認しまし
た。

自動撮影カメラTREL(トレル) 10J-C
夜間でもカラー撮影ができるTREL(トレル) 10J-C

すると・・・カメラを設置してすぐに、樹林地か
ら出没するイノシシの姿をとらえることがで
きました。

敷地に出没したイノシシ
敷地に出没したイノシシ
(夜間ストロボ撮影ができる
BMC SG565F-14mHDで撮影)

敷地に出没したイノシシ(幼獣)
敷地に出没したイノシシ(幼獣)
山林との境界線付近(夜間ストロボ撮影が
できるBMC SG565F-14mHDで撮影)

また、菜園にもしばしば現れ、イノシシは好
き放題に掘り返していきます。。

イノシシ出没前
イノシシ出没前(軽量コンパクトな
BMC SG570-12mHDで撮影)

イノシシ出没中
イノシシ出没中(軽量コンパクトな
BMC SG570-12mHDで撮影)

イノシシ出没後
イノシシ出没後(軽量コンパクトな
BMC SG570-12mHDで撮影)

このような、イノシシの行動にしびれを切ら
した地主さんから連絡を受け、打合せの結果、
イノシシの侵入防止対策として、金属柵を設
置するに至りました。

前振りが長くなりましたが、今回は“斜面樹
林地で金属柵を設置するコツ”です。

ちなみに、設置した金属柵は「イノシッシ
(1.8m)」で、山林と居住地の境界線
(山林斜面)に設置しました。

★金属柵【イノシッシ】の特徴★
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
■メッキ加工をしているのでサビに強い
■パネルは直径3.2mmの軽量タイプで、杭と
支柱パイプが分離型のため、楽に設置がで
きます
■うりぼうの通り抜けを防ぐため、地上高
45cmまでは目合いを7.5cmと狭くしています
■裾部には、斜めに張り出したスカートパネル
があるので、もぐり防止や飛び越え防止の効
果が期待できます

イノシッシ【1.8m柵】施工画像
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

今回の金属柵「イノシッシ」は、地域で活躍
している宍倉造園さんに施工をお任せしまし
た。

宍倉造園様
宍倉造園の宍倉さんです、今回の施工では
様々なコツを教えていただきました

柵の施工は、工務店さんの方が得意?とも考
えたのですが、今回の施工地が斜面樹林地で
あるため、樹木の剪定作業などが発生するこ
とを見込み、造園施工の会社に依頼しました。

急傾斜地で施工
造園屋さんは急傾斜地でもしっかり施工して
くれます
1.金属柵設置の位置決め

まず、最初の作業は、金属柵「イノシッシ」
設置のための位置決めです。

当然ですが、山林には樹木が多く生育してい
ます。
そのため、金属柵を設置する場合は、樹木の
根などをうまく避けながら、かつ、少しでも
平坦な場所に設置する必要があります。

写真11
写真12
現地は、大木があったり、アズマネザサに覆
われる場所があるなど、結構大変な場所です
邪魔な樹木は根こそぎ伐採してしまったら?
という考えもありますが、宍倉造園さんに聞
いたところ、「それはダメだ!」とのこと。

なぜか?

というと、「斜面の土壌は樹木の根でしっか
りと支えられているので、樹木を伐採してし
まうと、降雨時などに土壌が流出、金属柵も
ろとも流れてしまう危険性がある」と教えて
くれました。

納得です。

また、設置を予定する場所は、傾斜が極力緩
いところ、凹凸が少ないところを選ぶ必要が
あります。

なぜか?

というと、急傾斜地や凹凸が多い場所だと、
どうしても斜面と金属柵との間に隙間が出来
てしまいます。
そして、この小さな隙間を取っ掛かりに、イ
ノシシが隙間を広げ、そこから侵入してしま
う可能性があるからです。

2.必要資材数を決める

設置位置が決まったら、どのくらいの金属柵
の資材が必要になるか、見積もる必要があり
ます。

水田地帯などの平坦地であれば、地図やグー
グルマップなどから、必要となる資材量を計
算することができます。
金属柵設置_平坦地
(平坦地)

しかし、斜面樹林地だと、小規模な谷や尾根
があるために、どうしても隙間が出来て、イ
ノシシが侵入してしまいます。
金属柵設置_傾斜地
(傾斜地)

そのため、この隙間を埋めるために、どうし
ても多くの資材量が必要になります。
金属柵設置_傾斜地追加
(傾斜地)

ちなみに、このような状況を考慮すると、想
定した設置距離よりも1.3~1.5倍、さらには
それ以上の資材が必要になる場合があるので、
注意が必要です。

施工部材の一部
施工部材の一部

3.施工/事前準備

まずは、設置予定地の下草・樹木の剪定です。
金属柵「イノシッシ」を設置する場所に沿っ
て、幅約2mの範囲の下草を除去し、樹木か
ら張り出している枝などを選定していきます。

斜面での刈り払い作業
斜面での刈り払い作業

4.施工/金属柵「イノシッシ」の設置

整地が完了したら、フェンスを運び込み、
設置を開始します。

①資材を並べる
金属柵の設置は、起点からきっちりと設置す
るのではなく、まずは設置の目安となるよう
に、金属柵を並べていきます。
これで、ある程度の設置資材量を勘案し、本
施工を行います。

設置予定地に金属柵を並べる
設置予定地に金属柵を並べる

②杭の設置
杭パイプを地中に40~50㎝程度打ち込み、杭
パイプに支柱パイプを差し込みます。

写真16
あらかじめ、差し込む深さの目安を書いておく
と、作業がはかどります
杭パイプを打ち込む際は、資材に同梱されて
いる打込用ボルトを活用してください。

杭パイプに打込用ボルトを差し込む
杭パイプに打込用ボルトを差し込む

ハンマーなどで直接杭パイプを打ち込むと、
頭の部分が潰れてしまい、支柱パイプが差し
込めなくなる可能性があります。

杭パイプの打ち込み
杭パイプの打ち込み

杭パイプに支柱パイプを差し込む
パイプに支柱パイプを差し込む
③パネル留め具の設置
支柱パイプの上部に、パネル留め具を差し込
み、その上から支柱キャップをはめ込みます。

パネル留め具
支柱キャップ
パネル留め具と支柱キャップ

④本体パネルの取り付けと固定
本体パネルは、支柱パイプの上端にセットし
たパネル留め具に引掛け、さらにパネル固定
用結束線で固定していきます。
本体パネルをパネル留め具に引掛ける際は、
パネルの縦目が田畑などの保護対象地の外側
に、横目が田畑側にくるようにセットします。

これは、イノシシが金属柵に噛みついて壊そ
うとした場合、田畑の外側から横目を引っ張
られてしまうと、破損してしまう可能性があ
るためです。

横目が田畑の『外側』にある場合
※横目が田畑の『外側』にある場合

横目が田畑の『内側』にある場合
※横目が田畑の『内側』にある場合

パネルの固定には、ハッカー(しの)を活用
すると簡単に固定することができます。

固定は、支柱パイプ1本につき、上部・下部・
中間の3か所を固定します。

パネルを固定する時は、本体パネルと支柱と
をたすき掛けの要領で締め上げると、しっか
りと固定できます。

ハッカーを使っての固定
ハッカーを使っての固定

傾斜地などの接合部分は、必要に応じて切り
貼りするなど、隙間を作らぬようにしっかり
と張り合わせてください。

地形に合わせしっかりと張り合わせます
地形に合わせしっかりと張り合わせます

⑤スカ―トパネルの設置
スカートパネルのフックを本体パネルに取り
付けます。

スカートパネルの取り付け
スカートパネルの取り付け

しっかりと取り付けたら、スカートパネルの
端に持ち上げ防止のプためのラアンカーを打
ち込みます。

杭はプラス製
杭はプラス製

最後に、本体パネルにスカートパネルがしっ
かりと引っ掛かっているか確認し、緩いよう
な場所は、ペンチなどを利用してU字になっ
ているワイヤーを締め上げます。

ペンチで固定
必要に応じてペンチで固定

また、人が出入りする場所には門扉を設置し
ます。

幅1mの門扉
幅1mの門扉
5.完了チェック

パネルの設置が完了したら、隙間、特に潜り
込まれてしまうような場所はないかチェック
します。

隙間あり
しっかりと接合できているが、少しだけ隙間
ができてしまっている

もし、イノシシに潜り込まれる可能性がある
複雑な地形の場所があったら、地形に合わせ
て余った金属柵を加工したり、プラアンカー
を多めに打設するなどの対応を図ります。
こうすることで、イノシシ対策がより強固な
ものになります。

隙間を埋めるように、パネルを加工設置
隙間を埋めるように、パネルを加工設置します

プラアンカーを多めに設置
隙間ができやすい場所には、あらかじめ、プラ
アンカーを多めに設置します(打ち込み前)

これで、イノシシ侵入防止対策の金属柵
「イノシッシ」の設置は完了です。

金属柵「イノシッシ」設置完了
金属柵「イノシッシ」設置完了2
金属柵「イノシッシ」設置完了

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まとめ

◆金属柵「イノシッシ」設置の位置決め
・凸凹な場所は避け、少しでも平坦な場
所を選ぶ
◆金属柵「イノシッシ」資材の見積もり
・凹凸地であることを考慮し、資材量は
想定よりも多めにする(1.3~1.5倍程度)
◆施工/事前準備
・あらかじめ、約2mの幅で除草を行う
・斜面樹木は伐採せず、枝選定に留める
◆施工/金属柵「イノシッシ」の設置
・本体パネルの表裏に注意!
・パネルの接合部は隙間なくしっかりと!
・スカートネットの裾部は、潜り込まれない
ようにプラアンカーをしっかり打設!

◆完了チェック
・隙間、特にイノシシやシカが潜り込みそう
な場所がないかしっかりとチェック
・複雑な地形の場所などは、地形に合わせて
金属柵を加工、またプラアンカーを多めに
打設
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斜面地での施工は、平坦地と比較して、
数倍も手間がかかるといいます。

誰でも簡単に施工ができるのが“売り”の
イノシッシですが、斜面地での作業は危
険が伴います。
そのため、造園施工などの専門家にお頼
みするのも一つの手段かと思いますので、
ご一考ください。
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