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いのしし対策用のワイヤーメッシュ柵を自分で施工(DIY)する方法

いのしし対策用のワイヤーメッシュ柵を自分で施工(DIY)する方法

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こんにちは、「鳥獣被害対策.com」の井上です。

最近、イノシシ対策に「ワイヤーメッシュ柵(フェンス)を設置したいんだけど…」と、ご相談をいただくことが多くなっています。

その、ご相談内容というのは、主に以下の2つです。

・「フェンスは自分で設置できるの?」
・「金網の設置や施工は業者にお願いするの?業者さんにお願いすると、費用はどの程度必要なの?」

という、設置施工と費用に関するお問い合わせです。

この疑問について、今回はワイヤーメッシュ柵 (フェンス) の施工方法を含め、お伝えしていきたいと思います。

ワイヤーメッシュ柵 (フェンス) の施工費用はいくら?

まずは、自分で施工(DIY)するか、あるいは業者さんにお任せるか、についてです。

一般的に、柵の施工を委託する場合は、工務店さんや造園会社さんにお任せすることが多いようです。

その場合の標準的な施工費用として、100mあたり、「運搬・設置・補助作業」などを含め3名×1日程度は必要とされます。

仮に、人件費を1名あたり20,000円/日としても、100mを施工するのに計60,000円程度は必要になります。

ただし、これは標準的な価格であって、予定地が薮であったり、斜面地であったりすると、さらに費用は多くかかってしまうこともしばしば。

一方で、イノシシ対策用ワイヤーメッシュ柵「いのししくん」の資材費用は、だいたい10万円程度(送料除く)・・・

・・・施工費用にやや割高感を感じてしまいますよね。。

それでは、自分たちでの施工(DIY)はできないのか??

実は、できるんです!
しかも、割と簡単に!

獣害対策用で市販されている金属柵は、農家さんなどの一般的な工具の取り扱いに慣れている方でしたら、簡単に施工することが可能です(※)。

ワイヤーメッシュ柵 (フェンス) の設置方法

それでは、ワイヤーメッシュ柵の設置方法の流れについて、ご説明していきます。

柵の施工に必要な工具

まずは、必要な工具です。

たいだい、必要なものは以下の通りですが、最低限として、両口ハンマーとハッカー(シノ)があれば、施工は可能です。

  • レーキ・ジョレン・鎌:地ならし用
  • 両口ハンマー:支柱の打ち込み
  • ハッカー(シノ):ワイヤーメッシュと支柱の締め付け
  • ニッパー:結束線等の切断
  • ワイヤーカッター(ボルトクリッパー):ワイヤーメッシュの切断加工

ワイヤーメッシュ柵「イノシシくん」の特徴

ちなみに、イノシシ対策として定評のある「いのししくん」は、以下の特徴があります。

●イノシシ対策に特化したメッシュ構造

・通常、建築資材で使用するワイヤーメッシュは、15㎝×15㎝となりますが、この規格だと体サイズの小さな“うり棒”が入り込んでしまう可能性があります。

・そういったことが無いように、イノシシ対策用「いのししくん」は、地上部から約50㎝の高さまでは、ワイヤーの段数を2倍、つまり7.5㎝間隔としており、うり棒の侵入をしっかりと防いでいます。

●柵高はイノシシのジャンプ力を考慮した「1.2m」

・「イノシシの跳躍力は1mを超えることもある」とされていますが、通常販売されているワイヤーメッシュのサイズは1×2mなので、柵高は1mとなります。

・これを考慮し、「いのししくん」は飛び越え防止のために20㎝高い、1.2mで設計されています。

●ワイヤーの太さは強度の高い5㎜を使用

・イノシシ対策に使用するワイヤーメッシュ柵の線径は、5㎜は必要であるとされています。

・線材が細く、また劣化が進むと、イノシシによって噛み切られる可能性があります。

①設置対象地の整備

農機具の搬入などを考慮に入れた柵の設置ルートを検討し、草刈りや礫の撤去、穴があったら埋めるなど、平坦となるように整備します。

設置対象地の整備

もし、移動できない岩などがあった場合は、ワイヤーメッシュの設置位置を少しずらすなどして対応します。

②資材の仮置き

設置予定に沿って、ワイヤーメッシュフェンス「いのししくん」を並べていきます。

資材の仮置き

このときの注意点は、2つあります。

1つは、ワイヤーメッシュ同士の「重なり」部分を担保することです。

2枚のワイヤーメッシュを結束するときは、それぞれ両端の縦ワイヤー同士を重ね合わせ、そこに支柱を重ねて、結束していきます(下図)。
そのため、5~10㎝程度の重なりを意識して、ワイヤーメッシュを並べていきます。

ワイヤーメッシュを結束1
ワイヤーメッシュを結束2

もう1つは、ワイヤーメッシュ設置の向きです。

ワイヤーメッシュの縦目が畑の外側、横目が内側に向くように並べて行きます。

なぜ、向きに注意するかというと、イノシシの噛みつきによる破損を警戒しているためです。

下図のように、横目を外側に向けると、接合部が外れてしまったりして、大きな穴が開いてしまう可能性があります。

ワイヤーメッシュ設置の向き1

しかし、横目を内側に向けると、噛みつきによって歪められても、変形する部分は小さく、大きな穴が開くことはありませんよね。

ワイヤーメッシュ設置の向き2

そのため、仮置きの段階からワイヤーメッシュの向きに気を付けて設置するようにして下さい。

③支柱の打ち込み

仮置きが完了したら、端から支柱を打ち込み、ワイヤーメッシュを結束していきます。

支柱を打ち込む深さは約50㎝です。

あらかじめ、支柱にマーカーなどで印をつけておくと作業が簡単に進みます。

支柱にマーカーなどで印をつけておく
支柱にマーカーなどで印をつけておく (イメージ)

また、支柱とワイヤーメッシュを結束するのは、ワイヤーメッシュ同士が重なり合うところです。

そのため、まずはワイヤーメッシュ同士を重ね合わせて、その交点に支柱を当てて打ち込むようにしましょう。

④ワイヤーメッシュの結束

支柱の打ち込みが終わったら、ワイヤーメッシュの結束です。

ただし、ワイヤーメッシュを結束する前に、ワイヤーメッシュ足でワイヤーメッシュを踏み込んだり、ハンマーで叩いたりして、先端部分を地面に埋め込むようにします。

先端部分を地面に埋め込む1
先端部分を地面に埋め込む2

ワイヤーメッシュと支柱の結束は、結束線(太めの針金)を使用し、3~4箇所を等間隔に結束します。

結束線(太めの針金)を使用

結束方法は、支柱にワイヤーメッシュをあわせ、半分に折った結束線をたすき掛けのように掛けます。

そして、ハッカーを利用してワイヤーメッシュと支柱をしっかりと締めていきます。

ハッカーを初めて使う場合は、少々戸惑いますが、慣れてしまうと、簡単に作業を進めることができますので、ぜひ活用してください。

⑤アンカーピンの打ち込み

イノシシは、ワイヤーメッシュ柵の隙間を見つけて潜り込み、田畑への侵入を試みます。

そのため、ワイヤーメッシュの真ん中あたりに、補強のためのアンカーピンをしっかりと深く打ち込みます。

アンカーピンの打ち込み1
アンカーピンの打ち込み2

また、設置した場所をぐるりと点検し、強度が必要であると判断される場所については、支柱やアンカーピンを増やすなどして補強します。

⑥門扉の設置

人のや車両の出入のための門扉を付ける場合は、スパイラルコイルを使用すると簡単に設置できます。

人が通れる程度で良ければ片開扉として1つ、車両を入れたいのであれば、2箇所に設置して、両開とすることで約4mの門扉を取り付けることができます。

門扉の設置

以上がワイヤーメッシュ柵「いのししくん」の施工要領になります。

慣れてしまえば、施工業者さん並みとまでは言いませんが、それと同じくらいのスピード感をもって作業される方も多くいます。

地面との隙間が無いように、しっかりと設置すれば十分に対策効果が得られる対策資材です。

施工や資材の内容でわからないこと、質問等があれば何でもご連絡ください!

これまでの施工経験からアドバイスできることがあると思います。

ちなみに、お客様の中には、
イノシシやシカなど獣害の被害対策用だけでなく、ドッグラン用のフェンス、防犯用のフェンス、景観に配慮したフェンスだったり用途は様々です。

商品によっては様々な用途にも対応可能ですので、ご相談ください。      

※ロール式金属柵は、パネル式金属柵と比較すると、資材重量が重いため、人力だけでの設置は難しい場合がありますのでご注意ください。

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この記事を書いた人

井上 剛

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