キツネ
キツネ Vulpes vulpes(食肉目イヌ科)
形 態 |
食肉目イヌ科に属する中型の哺乳類である。 背面は赤褐色で顎の下から腹部は白色。四肢の足先前面には黒毛が少し入る。尾は背面と同じ赤褐色で先端だけ白毛があるが、先端部白毛のない個体も多い。 頭胴長は60~75cm、尾長は40cm、体重は4~7kgである。 |
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分 布 |
北海道、本州、四国、九州、国後島択捉島、淡路島に分布する。 ただし、四国では少ない。世界的には北アメリ力からユ―ラシアの大部分に広く分布する。 |
生息環境 | 都市近郊から山岳地までさまざまな環境に生息するが、主な森林と畑地が混在する田園環境を好む。穴を掘るのが上手く、総延長が30mにも達するような穴を掘り、繁殖に利用する。近年、北海道では市街地や観光地に出没する個体が増えている。 |
食性 |
動物食を中心とした雑食性。 ノネズミ類、鳥類、大型のコガネムシ類などおもに小型動物を捕食しているが、コクワなど果実類なども食べる。畑のトウモ口コシや二ワトリ、家畜死体、人家のゴミを採食することもある。 |
繁殖 | 年に1回、春に3~6頭の仔を出産する。 |
社会性 | 基本的には単独もしくは母子で生活するが、時に出産期から秋ころまではヘルパー(前年生まれのメス)を含む集団で生活する。雄は交尾期から子ギツネが生後1ヶ月くらいになるまで繁殖活動にかかわり、餌を運ぶものの、以後は単独生活である。 |
参考文献
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阿部永・石井信夫・伊藤徹魯・金子之史・前田喜四雄・三浦慎悟・米田政明(2005)日本の哺乳類[改訂版] .
東海大学出版会. - 日高敏隆(1996)日本動物大百科第1巻哺乳類Ⅰ.株式会社平凡社.
- 農作物被害
- 家畜を襲う
- 人やペット、家畜に伝染病を運ぶ恐れがある
キツネは、人畜共通の寄生虫エキノコックスの宿主となることがあり、糞にはその卵が含まれることがある。エキノコックスの卵が、沢の水などを通して人間の口から体内に入ると、体内で幼虫となって肝臓などに寄生し、肝機能障害などを起こし、そのまま放置すれば死に至る。また、ペットの犬や豚,馬などの家畜にも感染することが知られている。