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獣害対策における捕るための、捕らない工夫

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こんにちは、「鳥獣被害対策.com」の吉田です。

今日の鳥獣被害対策の知恵袋は、「錯誤捕獲」に関するお話です。

錯誤捕獲(さくごほかく)とは、 野生鳥獣を捕獲する際に、 目的外の動物を捕獲してしまうことです。

  • 狩猟における狩猟鳥獣以外の動物の捕獲
  • 有害鳥獣捕獲、個体数調整捕獲、学術捕獲などの許可捕獲における許可対象以外の動物の捕獲

を指します。

誤捕獲混獲などとも言います。

錯誤捕獲が生じた場合は、 速やかに放獣(ほうじゅう)しなければなりません。

しかし放獣作業には危険が伴う場合があり、また捕獲したことにより、動物を無用に傷つけてしまうこともあります。

したがって、錯誤捕獲は防止が大原則となります。

そこで、特にわな捕獲において、錯誤捕獲を防止するための工夫を、いくつかご紹介します。

ドラム缶式檻

クマ類を捕獲する時に用いる、ドラム缶式の捕獲檻です。

“バレルトラップ”とも呼びます。

誘引餌にハチミツやリンゴを使用することが多いのですが、 アナグマが捕まることがあります。

アナグマの錯誤捕獲を避けるためには、餌は吊り下げ式であるので、できるだけ吊り下げを短く、天井につくぐらいの位置に設置することで、アナグマが利用できないようにします。

大型獣用箱わなドラム:E type No.701

大型獣用箱わな

主にイノシシ、シカなどの捕獲に用いられる捕獲檻です。

大型のものでは、クマが捕獲されることがあります。

天井に脱出口が開いていて、クマはよじ登って脱出できるけれども、イノシシは脱出できない、という構造の檻が販売されています。

ただし、逃げられることを学習したクマが、脱出口から″入って″出る、という例も報告されています。

また、クマを誘引しないために、リンゴやトウモロコシなど、クマが好むような餌を使用しない、クマが冬眠する冬季に捕獲を実施する、などの方法もあります。

なお、かつてはクマを捕獲する目的で、鉄格子タイプの箱わなを使用していましたが、このタイプの檻は、クマが檻を齧り、歯がボロボロになることがよくありました。

そのため、捕獲個体の損傷が大きいことから、錯誤捕獲の問題以前に、檻の使用そのものを見直し、ドラム缶式檻へ転換することが推奨されています。

大型獣用箱わな 栄ヒルズ E type No.601

サル用箱わな

サルや野犬の捕獲に用いられる、中サイズの捕獲檻です。

果物類を餌にすると、

  • テン
  • ハクビシン
  • タヌキ

などが誘引されることがあります。

餌は、新たな被害農作物を増やさないために、地域の状況に合わせて選択する必要がありますが、サルを目的とした捕獲の場合、一般的にはサツマイモやジャガイモなどを利用すると、錯誤捕獲を減らせます。

また、サルは昼行性であるため、夜間は檻を稼働させないことも有効です。

群れで移動生活をしているため、その動きに合わせて稼働期間を調節する工夫もできます。

サル捕獲用箱わな

中型獣用箱わな

  • ハクビシン
  • タヌキ
  • アライグマ

など中型動物を捕獲する小型の箱わなです。

人家の近くで使用されることが多いため、飼い猫などのペットが捕獲されることがあります。

放し飼いのペットがいないか、事前によく確認すること、ドッグフード等ペットの好む餌を使用しないことなどが錯誤捕獲の防止策となります。

また、わなの見回りを頻繁に行い、チェックすることも重要です。

特に夏場は数時間で熱中症に陥りますので、注意が必要です。

中型獣(アライグマ・ハクビシン・タヌキ等)箱わな 

くくり罠

シカ、イノシシなどの捕獲に用いられる、足くくりわなです。

対象動物の選択が最も難しい捕獲方法の一つです。

クマやカモシカが捕まることもあり、暴れて足をケガしたり、死んでしまうことがあります。

ワイヤーが切れて攻撃される危険もあります。

クマについては、法令で定められている、直径12cm以下、ワイヤー径4mm以上を確実に順守することが第一です

しかしそれでも、指先だけで捕獲されてしまう場合もあります。

錯誤捕獲の防止策としては、わなの稼働を、クマの冬眠期間に限定する選択もあります。

また、対象動物を確実に誘引することも有効な方法です。

誘引餌に慣れたことを、自動撮影カメラなどで確認してから、わなを稼働させるのも一つの方法です。

わなによっては、爪楊枝を使ったり、ワイヤーの掛け方を工夫するなどして、荷重調整が可能なタイプもあります。

これにより幼獣や中型獣など、体重の軽い動物では作動しないようにできます。

足くくり罠 商品一覧

自動撮影カメラ(トレイルカメラ)商品一覧

捕獲は、「捕まえる」ことが目的ですが、目的外の動物を捕まえてしまうことは、動物への影響はもちろん、危険を伴う放獣作業や、わなの破壊などが生じます。

それらを防ぐために、ぜひ対象としない動物の「捕まえない」工夫もしてみてください。

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この記事を書いた人

吉田 淳久

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