野生動物の専門家による鳥獣害対策のためのブログ。野生動物の生態、観察、忌避、捕獲まで、被害を防ぐために役立つ情報を発信しています。

ご相談・お問い合わせ

【鹿捕獲】くくり罠にかかったシカの行動パターンと接近の際に注意するポイントを解説

記事のタイトルとURLをコピーする

鳥獣被害対策ドットコム」の宮畑です。

今日の鳥獣害対策の知恵袋は、くくり罠にかかった後のシカの行動パターンのお話です。くくり罠にかかったシカは、捕獲後は一体どのような行動をとるのでしょうか?

また、捕獲したシカへはどのように近づくのが安全なのでしょうか?安全な接近方法と注意すべきポイントも併せて解説します。

※【閲覧注意】記事内に一部残酷な動画が含まれますので、狩猟等の関係者や狩猟に理解のある方、ジビエなど野生鳥獣の利活用に興味のある方のみお読みください。

くくり罠にかかったシカの行動

くくり罠にかかったシカは、捕獲後も罠のワイヤーの長さ分は動けることになりますので、くくり罠が弾けて罠が足にかかった直後は、驚いて逃げようとして暴れまわります。

そして、その後は、しばらく後ずさりなどをしてワイヤーから逃れようと試みるようになります。

【鹿捕獲】くくり罠①捕獲直後に暴れるシカの様子

くくり罠にかかった直後。驚いて走り回っています。

ひとしきり暴れまわった後は休み、しばらくしてまた走ったり後ずさりしたりしますが、すぐにあきらめて止まります。

シカはイノシシのように地面を掘り起こすような行動はせず、少し暴れてはまた休むことを繰り返すだけです。休む時は地面に伏せてじっとしていることが多くなります。

捕獲後後半は基本的に地面に伏せていて、何かに驚いた時には立ち上がって暴れますが、それもすぐに止まります。

このように、シカの行動環境の改変度合いはイノシシと比較すると小さく、特に立ち木などにワイヤーが絡まったりして動きが制限された状況等では、ほとんど変化がない場合もあります。

【鹿捕獲】くくり罠②捕獲後暴れ疲れて休むシカの様子

疲れると地面に伏せて休むことが多くなります。

点検、見回りに行くと大抵の場合は地面に伏せていて、こちらに驚いて立ち上がり暴れだすことが多いです。

【鹿捕獲】くくり罠③人の気配に驚き暴れだすシカの様子

点検、見回りに行くと地面に伏せていることが多く、人の気配で驚いて暴れだします。

くくり罠にかかったシカに逃げられるケースとは?

シカの場合は、暴れて走り回ったときに、立ち木や岩などに絡んで転倒したりすることで、くくられた足が骨折していることもよくあります。

立ち木や岩などにワイヤーが絡んで動きが制限されている状況であれば、足がちぎれたり、くくりが抜けて逃走されることは少ないです。

しかし、ワイヤーの長さ分、自由に動ける状態になっている時に不用意に近づくと、全速力で走って逃げようとするため、シカ自身の体重が走るスピードに乗ることで足がちぎれたり、くくりが抜けて逃走されるケースもあります。

捕獲したシカへの近づき方と注意点

くくり罠にかかったイノシシの場合、人が近づくとこちらに向かって突進してきます。また、牙で突き上げる、噛みつく、といった攻撃をしてくるため、くくり罠のワイヤーが外れた時は大変危険です。

このため、突進しづらく、突進してもスピードが乗らないよう、斜面であれば上方からイノシシに近づくのが鉄則です。

一方、シカの場合は、近づくと基本は逃げる行動をとり、攻撃はしてこないため、ワイヤーの長さ分自由に動ける状況であれば、

・あえて斜面下方から近づく
・なるべく助走距離をとりずらい方向から近づく
・立ち木等に絡まる方向に逃げるように近づく

等の対応をすることで、逃走のリスクを減らすことができます。

ただし、補てい(保定)時や止め刺し時には、足で蹴る、雄の場合は角で突き上げてくる、といった行動もとってきますので、銃以外での止め刺し時には細心の注意が必要です。

【鹿捕獲】くくり罠④人が近づくと必死に逃げようとするシカ

近づいていくと必死に逃げようとする行動をとります。

【鹿捕獲】くくり罠⑤足をつかんでも逃げようとするシカの様子

特に雌は足をつかんでも逃げようとするだけで、攻撃はしてこないことがほとんどです。

トレイルカメラ(センサーカメラ)の便利な使い方

最後に、本記事でご紹介した動画は、通信タイプのトレイルカメラで撮影したものです。

このタイプのトレイルカメラは静止画と動画を同時に撮影でき、別途SIMカードを契約することで、静止画、動画のメール送信も可能です。

この通信機能を利用し、罠をかけた場所に向けて通信型トレイルカメラを設置しておくことで、獲物が罠にかかった際は、送られてくる画像や動画を遠隔で確認することができます。

さらに、送られてきた画像や動画により、どんな種類のどんなサイズの獲物がかかったかが事前に確認できるため、獲物に合わせた止め刺しや運搬方法等の準備ができるため大変便利です。

このように、トレイルカメラを上手に利用することで、今回お話した、くくり罠にかかった後のシカの行動も遠隔からモニタリングでき、的確に状況を把握することができます。

イノシシと比較すると攻撃を受ける危険の少ないシカではありますが、必死に逃走しようとする野生動物の力を決して甘く見ず、細心の注意を払い、安全、確実に止め刺しまで行いましょう。

※止め刺しの際の罠師の安全確保のために保定具の活用を推奨しています。

保定具セット
トレイルカメラの選び方完全ガイド

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

【関連記事】イノシシの補ていから止め刺しについてはこちら

【関連商品】シカ用くくり罠商品はこちら

【関連商品】保定具二点セット(鼻くくり+新型足錠)はこちら

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  • この記事を今すぐシェアする
  • facebookアイコン
  • Xアイコン

この記事を書いた人

宮畑 貴之

鳥獣被害対策 お役立ち情報

被害を防ぐために知っておきたい情報を公開中!

▼イノシシ被害でお悩みの方はこちら

トップへ戻る

先頭へ