野生動物の専門家による鳥獣害対策のためのブログ。野生動物の生態、観察、忌避、捕獲まで、被害を防ぐために役立つ情報を発信しています。

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【獣害対策】動物の動きを予測するポイントとは!?

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こんにちは、「鳥獣被害対策.com」の吉田です。

今回の鳥獣害対策の知恵袋は、私たち生きものの専門家が、どのように自然を眺め、動物の動きを予測しているか、その一端をご紹介したいと思います。

私たちは、初めて訪れる場所で調査をする時、事前に動物の動きをある程度予測し、現地に入ります。

そうすることで、効率よく現地の状況を把握できるようになります。

実はこの時の視点は、調査の効率だけでなく、動物の出没や被害を予測することにも共通し、獣害対策にも非常に役立ちます。

さて、一体何を見ていると思いますか?

① 地 形

先ずは、地域の全体的な地形を眺めます。

集落と山の境界線がはっきりした場所か、山に囲まれた場所か。山は孤立しているか、連続しているか。

地形は急峻か、なだらかか。

動物(特にサル、クマ、シカなどの移動性の高い動物)がいるとしたら、餌を食べたり休んだりしやすい平らな地形はあるか、移動に適した傾斜の緩やかなルートはあるか。

このように、地図だけでもいろいろなことが見え、等高線の並びを眺めているだけで楽しくなってきます(調査者の方は共感してくれる・・・はず!?)。

② 植 生

次に大事なのは、植物の状態です。

餌として、休む場として、身を隠すため、暑さをしのぐため、などなど、野生動物にとって植物(植生)は切っても切り離せない関係です。

そのため、現地にどういった植物がどこにあるか、情報を集めます。

特に、針葉樹が多い地域では餌が限られるため、動物にとって餌のある広葉樹林や農地の価値が高まります。

③ 農 地

動物にとって農地は餌場としての価値があります。

ただし、その価値や利用のしやすさは、地形や植生との関係もあります。

農作物は栄養価が高いので、それだけで十分に魅力的ですが、山に餌が少ない環境では農地の価値はさらに高くなります。

また、動物がよく利用する環境に農地があれば、進入する可能性は高くなります。

④ 日当たり

日当たりの良い場所は、植物の生育も良く、農地としての利用も多くなっています。

また、当然暖かいので、冬の晴れた日は日向ぼっこにうってつけです。

⑤人家と山と農地の位置関係

野生動物は基本的に警戒心が強く臆病です。

農地に出没するような動物でも、常に逃げ道や身を隠せる環境を確保しながら近づいてきます。

山際に農地があり、人家が離れている場合は特に狙い目です。

しかしその場合でも、藪などを利用して出来るだけ身を隠しながらやってきます。

さて、こうして予想を立てたら、あとは現地で確認です。

先日、某市へサルの出没状況を調べに行ってきました。

現地は柑橘類の栽培が盛んな地域という情報は得ていましたが、果樹園の場所は把握していません。

けれども、果樹の栽培には日当たりが重要な上、この日は2月の晴れた日。

きっと柑橘もサルも暖かい南向き斜面にある/居る、と予想し、南向き斜面を集中的に探しました。

すると、1時間ほどで群れを発見。

人家の上でミカンを食べているサルも見えました。

予想的中!!

さて、南斜面の果樹園はいくつもあります。

ではサルはなぜ特に“そこ”に居たのでしょうか?

サルの居る場所をよく観察して、その理由がわかりました。

少しわかりにくいですが、山から樹林が伸びて、竹藪が人家のすぐ裏まできています。

黄色い丸はサルの位置です。

サルは奥の拓けた斜面にはあまり出ず、この竹藪付近で出入りしていました。

しかも、近所の人の話では、サルが屋根に上っている家は、留守がちだそうです。

つまり、果樹園に出たり、人家のベランダに上ったり、一見大胆な行動をとっているように見えて、リスクを最小限に抑える行動をとっているのです。

このことは逆に、サルにとってメリットを減らし、リスクを増やせば、行動を変えられることを意味します。

具体的には、取り残しの果樹をなくし、竹藪を刈り払って樹林と人家の連続性をなくし、人やイヌなどに追い立てられれば、この場所に立ち寄ることを嫌うようになるでしょう。

サルに限ったことではありません。

シカ、イノシシ、クマも同様です。

野生動物がなぜそこに居るのか?メリットは何か?リスクは何か?

動物の目になって、地形や天候なども含めた大きな視点で眺めてみてください。

今まで気づかなかった動物の動きとその対策が見えてくることでしょう。

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この記事を書いた人

吉田 淳久

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