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“アライグマ捕獲専用”箱わなができました!

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こんにちは「鳥獣被害対策.com」の井上です。

先日、霞が関で開催された「第5回鳥獣被害対策サミット」に足を運んできました。

サミットの発表内容もさることながら、私がもっとも気になったのがコレです。

「アライグマ捕獲専用」の箱わなです。

一見、やや背の高い、普通の中型獣用箱わなにみえますが、トリガーの構造がこれまでの製品とは全く異なります。

一般的なトリガーの形式は、踏板式と吊り餌式の2種類が主流です。

しかし、下の写真をみていただくとわかると思うのですが、これまでのトリガー構造とはまったく異なる「筒型」のトリガー形状となります。

この箱わなの外側に取り付けられた透明の筒がトリガーです。

少し斜めからトリガーをみた写真がコレ(↓)です。

(餌はこの筒の中に入れます)

アライグマは、前肢を手のように使って、隙間などの奥にある餌を取ることができるという、特性をもっています。

この筒型トリガーは、アライグマの得意な行動を利用したものとなっています。

ちなみに、アライグマだけが作動できるトリガー位置は、開口部から17㎝とのこと1)。

この位置にセットすることで、ハクビシン、タヌキ、アライグマ、テン、ネコの錯誤捕獲を解消できる1)そうです。

餌の匂いにおびき寄せられた動物は、餌を採るために、箱わな内に設けられた筒の上の穴から前足を入れて取りだそうとします。

しかし、餌がある筒の下の方にまで、手が届く動物はアライグマ以外になく、そこにあるトリガーを触ってしまい、御用になる、という仕組みです。

ちなみに、このトリガーには細工がしてあり、アライグマの爪先が引っ掛かりやすくなるように、穴の開いた小さな円筒状のパーツが付いています。

見づらいですが、写真の〇(マル)のなかに、トリガーと連動した小指の太さくらいの円筒パーツが2つ付属しています。

【シャッターが落ちるまでの仕組み】

①アライグマが餌欲しさに、筒型トリガーに前肢を入れる。

(下の写真は、前肢到達位置の測定1)です。

アライグマは下の方まで前肢が伸びていますが、ネコは下まで届きません)


写真参考2)


写真参考1)


②筒の下側にあるワイヤー(+円筒パーツ)に指が触れて、
トリガーを作動させる


③ワイヤーが引っ張られ、ストッパーが外れる


④アライグマ捕まる

また、この箱わなは、通常の箱わなよりも背が高く、奥行きが短くなっています。

わなが高くなっている理由は、筒式トリガーに高さがあるためです。


写真参考2)

また、この奥行きについては、侵入行動比較実験が実施されており、開口部が同じであれば、奥行きが短いほど、侵入行動が多い1)という結果が得られており、「筒型トリガー」の位置によっては後肢で立ちながら採食行動を行うことが観察されている1)そうです。

これらの結果から、このアライグマ専用箱わなは、開口部が市販の箱わなと同サイズ(W310㎜、H360㎜)で、高さがH470mm、奥行きは450㎜と短く、コンパクトにすることができた1)そうです。

近年、アライグマの防除活動の一環として箱わなによるアライグマの捕獲が進められています。

しかし、このアライグマ捕獲専用箱わなを考案した古谷益朗さん(埼玉県農業技術研究センター)にお話を聞いたところ、タヌキやノネコといったアライグマ以外の動物が先に捕獲されてしまう錯誤捕獲によって、アライグマの捕獲効率に影響を与えているといいます。

このアライグ捕獲専用箱わなで、錯誤捕獲をなくし、また稼働率を向上させ、効率的にアライグマの駆除が推進できるとよいですね!

【参考】
1)平成29年度 埼玉県農業技術研究センタ試験研究成果発表会(H30.2.2開催)要旨
2)https://www.pref.saitama.lg.jp/b0909/araiguma-hokakuki.html

アライグマ専用箱わな 栄ヒルズ 「Raccoon cube(ラクーンキューブ)」

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この記事を書いた人

井上 剛

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