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正しい電気柵の普及

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こんにちは「鳥獣被害対策.com」の児嶋です。

7月、川辺に咲くアジサイの花を鹿の食害から守るために作られた「電気をワイヤーに流しただけの柵」
がひき起こした事件に電気柵にかかわるものは、やりきれない悲しさに包まれている。

事故にあわれた方々には謹んで心よりお見舞い申し上げます。

本来、電気柵は家畜や野生動物と人間が共生をしていくために考え、多くの時間を費やして研究、試され、動物や人間を傷つけないように安全性が確保され製品化された。

電気柵は、正しい理解と知識があれば手軽に獣害対策ができる製品だ。

家庭用電源をそのまま柵線に流しただけのような危険ものは電気柵とは呼ばない。

人間が作り出した農地や生活域という「安全で魅惑的な餌場」をめがけて鹿や猪などの野生動物がやって来るのは自然なことである。

この餌場が野生動物の食糧事情を良好なものにすることが、それぞれの野生動物の個体数を増やすことの一因になり、総じて生態系を乱すことになっている。

昨今の人手不足で

  • 「里山の整備」も
  • 「管理、計画的な狩猟」も
  • 「残渣の処理」も

簡単にはいかない現状が悪循環に追い打ちをかける。

負のスパイラルだ。

そこで登場するのが「電気柵」だ。

鹿や猪などの野生動物の習性を利用して「このエリアに近付いちゃダメですよ」と学習してもらうためのシステムであって、電気柵は鹿や猪を決して傷つけたり、死に至らすような残虐なものではない。

電気柵は、鹿や猪などの野生動物が柵に触れて感電することによって学習し、柵に近づかなくなる心理的な柵だ。

このことを野生動物に正しく学習してもらうには、人間が正しい理解と方法で運用しなければならない。

ちょうど、野生動物の学校の生徒と教師のような関係だ。

生徒に効率よく学習してもらうには、環境を整え「カリキュラム」を適切に運用する必要がある。

また、良い教師は「生徒」のことを「深く知る」ことが必須であろう。

実際に、電気柵を設置する際は、鹿や猪などの野生動物の行動を深く知ることも大切なのだ。

電気柵は、金属メッシュ柵(ワイヤーメッシュ柵)のような、物理的な「強度」を必要としないために、設置が容易で費用も以前と比べて安価になっている。

シンプルな構造で大人ひとりでも設置が出来てしまう簡単なものだ。

しかし、伸びた雑草が柵線に触れることで漏電してしまうため、メンテナンスをこまめに行わないと、効果が薄くなってしまう。

このメンテナンスに関しては、近隣コミュニティの人々の一致団結した協力体制があれば解決できる問題かもしれない。

また、対象となる鹿や猪などの動物によって、柵線の本数や設置高などにも工夫が必要である。

例えば、猪は2段張りで、高さは地上から20㎝、40㎝の高さで張るのが基本となる。

また、鹿では20cm、40㎝、60㎝、90cmの4段張りを基本とし、電気柵を飛び越えてしまう可能性があるため、120㎝、170㎝と段数を増やすこともある。

自治体によっては補助金などにより設置を奨励するところもあるようだ。

電源(コンセント)が無くても、乾電池で作動するもの、ソーラーパネルで充電できるものもある。

小規模用の製品は、2万円程度から購入可能な製品もあるので、鹿や猪などの野生動物の食害に悩む小規模の菜園などでの活用も見込める。

マスコミで取り上げられ、存在は知られるようになった電気柵だが、その有用性はまだまだ知られていないようにも思える。

これからも、鳥獣被害対策の窓口として、多くの人々に安全な電気柵の利点を広めて理解を深めていきたいと思う。

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