栃木県益子町のイノシシ被害対策の取組(西明寺地区を例として)後編/現地視察 | イノシシ対策 | イノシシ対策の知恵袋こんにちは
鳥獣被害対策.comの井上です。

先日のブログでは、「栃木県益子町のイノシシ
被害対策の取組 前編/西明寺地区2年間の取
り組み」について掲載しましたが、今回はこの
後編/現地視察編です。

栃木県益子町では、平成26~27年度の2カ年
にかけて、イノシシ対策を実施しています。

前回ブログ
栃木県益子町のイノシシ被害対策の取組
前編/西明寺地区2年間の取り組み
https://www.choujuhigai.com/blog01/435.html

主要なイノシシ対策は、電気柵やワイヤーメ
ッシュ柵を使用した、田畑への侵入防止と、
藪化した里山林の手入れです(捕獲も進めて
います)。

今回の現地視察では、鳥獣管理士1級(※)
の橋本由利子さんに、柵の設置状況や里山林
の手入れなどについて、様々なポイントから
レクチャーしていただきました。

ちなみに、女性で鳥獣管理士1級を取得して
いるのは橋本さんだけだそうです!スゴイ!

視察地に到着し、まず驚いたのは、徹底した
農地周辺の藪の刈り払いです。

山裾が藪化した里山の景観は、『鬱蒼とした…』
という印象が強く残りますが、しっかりと山
裾の下草管理が行われている場所は、『すがす
がしさ』を感じます。

イノシシ対策_ササ繁茂
栃木県周辺の里山は管理が滞ると、ササが繁茂
するようになり、藪化が進行していきます。。。

イノシシ対策_藪の刈り払い

西明寺地区の山裾は、スッキリです。
春になると、さらにきれいになるでしょうね!

イノシシ対策_林内下草刈り

林内(山裾)も、下草を刈って見通しヨシ!

“きれいな森だなぁ~”と、そんなことを思
いながら山裾を眺めていたら、鳥獣管理士
の橋本さんが教えてくれました。

「イノシシは、とても臆病な生きものなので、
全身をさらけ出すようなことはしたくないの。
だから、田畑の周囲の藪をしっかりと刈り払
っておくことが大切。
この“刈り払いの幅の目安は3m”だよ!」と。

ただし、このきれいな林床を維持するのは大
変だろうなぁ…なんて思いつつ、刈り払いの
コツについて、地域リーダーの山崎さんに、
「どうやって、こんなにきれいに畦や斜面を
刈り払うことができるのですか?」と、聞い
てみました。

すると、山崎さんは「みんなが近所の様子を
気にして刈るもんだから、みんな自然とね、
刈り込みの技術が上達していくんだよね~
面白いもんだね~」と、教えてくれました。

次に、電気柵の設置の状況のチェックです。

私が“きれいに張れているもんだなぁ~”、な
んて感心していたら、すかさず橋本さんが段
差部に発生した隙間を見つけ、『危険だわ!』
と、チェックが入りました。

イノシシ対策_電気柵設置状況

この場所は、道路から一段下がったところに
水田があり、この道路と水田の間には、小さ
な水路が流れています。

私は最初、どこのことを指しているのか?と
思ったのですが、よく見ると、危険個所はす
ぐにわかりました。

イノシシ対策_電気柵設置危険個所

そう、段差をクリアするためのギャップ部分
です。よくみると、この反対側も同じように
隙間ができていました。

イノシシ対策_電気柵設置危険個所2

この写真を見た方は、“イノシシがこの隙間に
入り込むためには、車道からジャンプしなく
てはいけないので、『そこまでしなくても大
丈夫なのでは…?』”と、思うかもしれません。

しかし!

この隙間の手前には、水路が流れており、イ
ノシシは水路を伝いながらやって来て、田畑
に侵入してしまう可能性がありました。

イノシシ対策_電気柵設置危険個所水路

ちなみに、この水路の下流側はこんな感じです。

イノシシ対策_水路の下流側

つまり、車道を歩いてきたイノシシは、
①水路を渡り→
②土手に移動→
③斜面を降りて→
④水路に侵入→
⑤上流側に向かい、カルバートに侵入→
⑥カルバートを抜けたら→
⑦田畑に侵入成功!

イノシシ対策_電気柵設置危険個所3

イノシシ対策_電気柵設置危険個所4

イノシシ対策_電気柵設置危険個所5

このような事態を避けるために、橋本さんは
「早急にこの隙間にも1本、柵線を増やして
対応しよう!」と、素早い指示が出ます。
さすがは、鳥獣管理士1級の腕前です。

電気柵の設置状況を確認した後は、ワイヤー
メッシュ柵の確認です。

ワイヤーメッシュ柵は、田畑と山裾との境界
部分に設置されています。

イノシシ対策_ワイヤーメッシュ柵設置場所

“しっかりと、きれいに張っているなぁ~”
(ちゃんと、ワイヤーメッシュの表裏も統一
されているし)などと感心していたら…。

またも、橋本さんが教えてくれました。
「実はこの前、このワイヤーメッシュ柵と電
気柵の間に、イノシシが入り込んでしまって、
ワイヤーメッシュを曲げられてしまったの…」

パッと見は分からなかったのですが、よくよ
く観察すると、ありました。
確かに、ワイヤーメッシュの裾が曲げられて
います。

恐るべし、イノシシパワー!

イノシシ対策_ワイヤーメッシュ柵裾曲げ

イノシシ対策_ワイヤーメッシュ柵裾曲げ拡大

どうやら、何かの拍子に、ワイヤーメッシュ
柵と電気柵の間にイノシシが入り込んでしま
い…パニックに陥ったイノシシが、ここから
脱出したのだろうと…。

それにしても、なぜ、この場所を選んだので
しょうか?

遠目にみると、ちょうどこの場所は、他の場
所よりも少しだけ傾斜が緩くなっています。
そのため、足場として踏ん張りが効くので、
ここに決めたのでしょうか。

また、ワイヤーメッシュ柵の外側(写真の右
側)はきれいに整理されていたのですが、脱
出された所には、ちょうど伐採木が迫り出し
ていました。イノシシ目線でみると、この出
っ張りはすがりたいものに見えたのでしょうか。

イノシシ対策_ワイヤーメッシュ柵1

答えは、イノシシに聞かないとわかりません
が、いずれにしてもこの場所は要注意個所と
して、修理・補強を行うとのことでした。

パッ、と見ただけではわからないところにも、
しっかりと気を配ることが必要ですね。

このほか、水路下からの潜り込みを防止する
ため、こんなところにもしっかりとワイヤー
メッシュ柵を設置していました。

イノシシ対策_ワイヤーメッシュ柵潜込防止

今回の視察を通して痛感したのは、日々の地
道な、たゆまぬ点検です。
やはり、土地に愛情をもち、見つめ続けるこ
とが大切なのですね。

地域リーダーの山崎さんが話されていた「先
人から引き継いだ、この豊かで美しい地域の
環境を将来の世代により良い姿で残していく」
という想いが実現できそうです。

益子町西明寺地区の取組の詳細は、以下のサ
イトでも閲覧することができます。
ぜひ、閲覧してください、参考になります!

栃木県HP

※栃木県では、イノシシによる農業被害を受
けている集落において、獣害対策の指導者で
ある鳥獣管理士を配置し、継続的かつ有効な
対策を住民自らが主体的に計画・実施するこ
とにより、獣害に強い集落づくりをすすめて
います!

益子町HP

※鳥獣管理士:鳥獣管理士は、鳥獣管理の専
門的な教育を受けた方を対象に、一般社団法
人鳥獣管理技術協会が資格試験を実施して認
定する技術者資格です。

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地域環境計画_井上