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猪から田畑を守るために「イノシシが嫌がるたった2つのこと」をしよう!

猪から田畑を守るために「イノシシが嫌がるたった2つのこと」をしよう!

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こんにちは「鳥獣被害対策ドットコム」の大井です。

以前のブログでは、「猪から田畑を守るために「猪の生態 8つの特徴」を理解しよう!」と題して、猪の生態をご紹介させていただきました。

イノシシは、抜群の跳躍力を持っていたり、記憶力や模倣学習などの優れた知能の持ち主であったり...と、なかなか手ごわそうな感じがありますよね。

イノシシ
画像:イノシシ

そもそも猪は臆病な動物である

この手ごわそうなイノシシの対策について、今回のお話しで一番伝えたいことは、

『猪はとても臆病である』

ということです!

そして、猪対策で重要なことは、私たちはイノシシが『臆病』であることを十分に理解しておくことです。

では、なぜ臆病なイノシシたちが、なぜわざわざ里に出てくるのか?というところから、改めて考えてみましょう!

【動画:林の中から畑をうかがう猪】

猪が里に下りてくる時の心境を想像してみましょう・・・。

彼らはとても臆病な動物なので、内心は怖い、怖いと、とてもビビりながら里に下りてきています。


【動画:クリ畑のクリを食べる猪】

ビビりながらも、里に下りてくる状況、それはごちそう食べたさが勝ってしまい、『 恐怖 << 食欲 』 となってしまっている状態です。

これを『 恐怖 >> 食欲 』に戻していくことが大切なのです!

猪が里に下りてくる理由とは?

それでは、なぜ猪が里に来るのでしょうか?

理由とは...里に行くとあるものと言えば、畑ですね。

そう、畑にはおいしくて、栄養豊富な野菜がたくさんありますよね。

この、農家さんたちが丹精込めて作った野菜は、猪たちが山で普段食べているものとは比べ物にならないくらいの“ごちそう”です。

農地
画像:農地

ひとが食べても美味しいのですから、イノシシはこの美味しい食べ物に執着してしまうのも分かる気がします。。

そして、イノシシに狙われているのは、畑の野菜だけではありません!

この他にも、捨てられたり、肥料代わりに撒かれたりした“生ごみ”、間引きしたり、収穫時期を過ぎたりして“捨てられた野菜”も、猪たちにとっては大変なごちそうになるのです。

捨てられた野菜(残渣)
画像:捨てられた野菜(残渣)

つまり、こういったものが畑にあることで、猪たちは少々怖い思いをしてでも、ごちそうを食べに里に下りてきてしまうのです。

畑で栽培している野菜はともかくとして、それ以外のイノシシのごちそうになるものは、可能な限り排除していくことが必要です。

要するに、餌となりうるものはきちんと処分して、イノシシたちにとっての里の魅力を下げていくことが大切になります!

イノシシが嫌いな野菜とは?

イノシシは、イネ科の雑草、野菜、タケノコなど植物質のものを中心に、甲殻類や昆虫、爬虫類など動物質のものも食べる雑食性ですが、イノシシが嫌いな植物ってあるのでしょうか?

例えば、猪があまり食べないと言われている苦みや辛みの強いネギやショウガ、トウガラシなどの野菜についても、猪に食べられたという報告があり、個体によっても好みがあるのではないかと考えられています。

甘い果実や野菜などと比較して、苦み、辛み、えぐみの強い野菜などは、被害にあいにくいですが、絶対に食べられないわけではないので、防護柵などの被害対策が必要です。

猪が恐がって近寄らないようにするための対策

次に、イノシシの恐怖心を“刺激”します。

猪は、当然ながら、怖い思いはしたくありません。
とにかく人目につかないように、安全に、安全に、里へ行きたいと考えています。

これを逆手に取ることが『 恐怖 >食欲 』につながります。

まずは簡単にできることから、恐怖心を刺激していきましょう!

①畑の周りをスッキリさせる

周りに管理されておらず、草や木がボーボーに茂った畑や水田はありませんか?

生い茂る草木が猪の隠れ場所に
画像:生い茂る草木が猪の隠れ場所に

これはイノシシたちにとって、格好の隠れ場所となります。

また、藪に隠れながら目的の畑のすぐ近くまで行くことが出来るので、恐怖心がかなり軽減されます。

余談ですが、私の祖母の家では、周りの茶畑が放棄されて藪が増えたころから、猪が家の周りに出始めました。。

理想としては、このような藪を刈り払うことで、イノシシたちにとっては近寄りがたい場所となります。

しかし、全てを刈り取るには大変です。

まずは、畑の周辺の雑草を2~3m刈り取ることから始めましょう。

除草して猪の隠れ場所をなくす①
画像:除草して猪の隠れ場所をなくす①
除草して猪の隠れ場所をなくす②
画像:除草して猪の隠れ場所をなくす②

②散歩(見回り)をする

猪を怖がらせるために、彼らがよく使う場所には、人の気配を残しておきましょう。

人の気配ってナニ?と思う方も多いと思います。

まずは集落や畑の周りを散歩してみてください。

イノシシが残した足跡やヌタ場、けもの道などの痕跡が見つかるはずです。

ここでお勧めしたい“嫌がらせ”は、けもの道を歩くということです。
けもの道の出入り口5~10mを歩くだけでも、そこには“人が入った痕跡”が残ります。

けもの道に人が入った痕跡を残す
画像:けもの道に人が入った痕跡を残す

こうすることで、イノシシたちにとっては、「なんか嫌な感じがするからやめておこう・・・」となります。

大切なのは、ここには“人がよく来る”場所である、ということをイノシシに認識させることです。

※けものが多く通る場所にはマダニもいることがあるのでご注意を!

見落としがちなことですが、継続して実施することで猪を寄せ付けないことにつながります。

ぜひ継続的に、彼らに“嫌がらせ”をしてみてください!

参考:「イノシシから田畑を守る おもしろ生態とかしこい防ぎ方」(江口祐輔著 2003年)財団法人農山漁村文化協会

その他、イノシシの嫌いな対策をまとめた記事「大切な農地にイノシシを近寄らせない対策とは?」も併せて参考にしてみてください。

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この記事を書いた人

大井 章豊

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