イノシシ被害を防止するために実践できることを獣害対策の専門家が解説
投稿日:2016年4月18日
運営会社:株式会社 地域環境計画
投稿日 : 2017年05月31日
更新日 : 2024年07月08日
こんにちは「鳥獣被害対策ドットコム」の井上です。
近年、ニュースでも多く取り上げられている農地へのイノシシ被害ですが、いったいどのようにし
て、守ればよいのでしょうか?
目次
大切な農地にイノシシを近寄らせない方法としては、
が代表的です。
また、イノシシが隠れ場所として好む藪(やぶ)を刈り払うなどして、環境を整備することも、大事なイノシシ対策になります。
農地の周囲に、侵入防止柵を設置するのは、最も効果的な対策の1つで、イノシシ以外の獣に対しても効果があります。
しかし、忘れてはいけないのは、イノシシはそのルックスによらず、俊敏で身体能力が高いという点です。
イノシシをナメていると、その代償は大きなものになってしまいます。
イノシシは、
と、優れた身体能力を持っています。
また、一方でとても臆病な動物だとも言われ、初めて見るものなどは、なんでも『鼻』で探ろうとします。
鼻は、触る・こする・突く・こねるなど、様々な動きに対応でき、まさに触覚のような枠割を果たしています。
対策は、これらのイノシシの特徴を肝に銘じて、実行することが重要です。
イノシシの生態について話をしましたが、侵入防止柵について、話を戻しますね。
侵入防止柵は、様々なタイプのものがあります。
例えば、
など、様々なものがあり、それぞれには一長一短があります。
板状の代表としては、トタン板などで農地を囲む対策方法があります。
この方法は、イノシシ被害が多い西日本ではよくみることができる光景です。
トタン板などによって、イノシシや他の獣の視覚を遮る、つまり農地の作物(=餌)を見えなくすることができる点は優れています。
しかし、イノシシは高さが1m程度までは飛び越えることがあり、また凹凸の多い場所だと、地面とトタン板の間に隙間が出来やすくなり、このような隙間をイノシシに狙われてしまうと、侵入を防ぐことができません。
また、設置にも大きな労力が必要となります。
一方、網には、ネット製のものや、金属製のものがあり、一定の効果が見込めます。
これらの網はトタン板などとは異なり、イノシシの視界を遮らないため、網の先に大好物となるものが栽培されていると、網を壊してでも入り込もうとすることがあるので注意が必要です。
そのため、ネット製のものであれば、獣に噛み切られにくい、ステンレス線入りにする必要があります。
また、より頑丈なワイヤーメッシュや金属性のものを使うことで、イノシシの侵入を防ぐことができます。
ただし、これらの柵については、接地面を掘り返されないよう、強力に固定することが重要になります。
ちなみに、具体的な対策用品としては、以下のようなものがあります。
特に、イノシシなどの獣害対策に特化したものでは、潜り込みや跳び超えを防止するため、柵の下部周辺を補強したものも多くみられます。
このような設えは、一般的に「スカート(ネット・パネル)」などと呼ばれています。
※商品ページへリンクします。
●ネット柵
※獣害防止ネット アニマルネット2300/60m資材セット(地上高2.1m)
※グリーンブロックネット(100m資材キット)
●ワイヤーメッシュ柵
※いのししくん
●金属柵
※イノシッシ
このほか、費用対効果が高く、設置も簡単なのが電気柵です。
電気柵は、イノシシが電線を触ると電流が流れ、びっくりして近づかなくなるという仕掛けです。
見た目は、支柱に“ヒモ”が通してあるだけ?という、弱々しいしいものですが、電圧は7,000ボルトと、とても強力です。
7,000ボルト!と言われると、「電気柵は危険なんじゃぁないの?」と、思っている方も多いと思います。
しかし、電気柵は、常時、電流が流れているわけではなく、約1秒間に0,01秒以下と極めて短い間だけ通電させるので、誤って触れてしまっても危険回避が可能です。
最近では、田圃や畑のほか、ゴルフ場などでもイノシシ対策として、電気柵を設置することが多いようです。
ちなみに、電気柵は家庭用コンセントにつなぐもののほか、乾電池で稼働するもの、自動車などのバッテリーを使用するもの、さらにはソーラーパネルによってバッテリーを充電させるものなど、用途によって選ぶことができるもの魅力です。
ただし、電気柵にも欠点があります。
イノシシの体は、分厚い毛皮に覆われており、この毛皮部分に電気柵が接触してもほとんど効果がありません。
そのため、電気柵を効果的に活用するためには、“電線をイノシシの鼻先に触れさせる”ことが重要になります。
「そんな、イノシシの鼻に電線を当てるのは難しいよ」と、思っている方も多いのではないかと思います・・・が、イノシシの習性を思い出してください!
イノシシは、初めて見るものなどは、なんでも『鼻』で探ろうとします。
なので、今までイノシシが自由に往来していた、農地の目前に、突然、電気柵が現れると、イノシシは「あれ?これはなんだろう・・・」と思い、警戒します。
もしかしたら、電気柵が設置されただけで、数日のうちは近寄らないかもしれません。そして、恐る恐る、電気柵に近づき、鼻先で電線に触れます。
触ったが最後・・・イノシシは、電気柵の恐怖を、身をもって感じることになり、学習します。
電気柵は、『心理柵』だとも言われています。
このように、イノシシが電気に触れることで、心理的に痛さを覚え込ませるのです。
また、電気柵は「こまめな管理が必要だ」と、よく言われます。
これは、周囲の草丈が伸びて、電気柵に触れてしまうことで漏電をして、電気柵の効果が無くなる場合があるためです。
そのため、電気柵周辺の草刈りなど、定期的なメンテナンスが必要です。
なお、電気柵の下に、トタン板などの電気を通すものを敷くことで、除草効果もあり、メンテナンスの手間も省けます。
イノシシは警戒心が強く、臭いや音にも、とても敏感なので、昔からこれらの習性を利用した様々な対策が行われてきました。
伝統的なイノシシ対策としては、人の髪の毛を束ねて吊す方法や、線香やコールタール、石鹸などのにおいを付ける方法などが知られています。
近年では、他の動物の尿やトウガラシを利用したものがあります。
また、イノシシが近づくと、センサーが反応して、音や視覚によって恐怖心を与える方法も開発されています。
しかし、これらの臭い・音・光といった、イノシシ対策は、効果が一時的であったり、また単体では充分な効果が見込めない場合もあるとされています。
つまり、これらの臭い・音・光によるイノシシ対策は、侵入防止柵などの恒久的な対策と併せて、より効果をあげるための対策と考えるのが妥当です。
例えば、収穫を前にして、“絶対に農地を荒らされたくない!”という時に、恒久対策に加えて、短期集中で実施することで、効果が見込める方法となります。
イノシシは、見通しが効く、開けた場所を嫌がる習性があり、移動は山林内や藪のなかが中心となります。
したがって、イノシシの被害を真っ先に受けるのは、山林や藪に面した農地になります。
さらに、こういった場所にある農地に、野菜くずなどが捨てられていると、イノシシは喜んで餌場にしてしまいます。
したがって、このようなイノシシが好む環境に人手を入れ、整備することも重要なイノシシ対策になります。
具体的には、農地に接した藪などを刈り払い、見通しのよい環境にすること、また野菜くずなどは適切に処理して、餌付けをしないようにすることが大切です。
さらに、これらの環境整備は、個人で実施するよりも、地域で一体となって実施することが重要です。
以上、大切な農地に、イノシシを近寄らせない対策についてお話をしました。
まずは、イノシシ(=敵)の特性を知ること、そして相手は我々の想像以上に賢いことを念頭に置き、イノシシが嫌がること、またイノシシの習性を逆手にとった対策を実施することが重要です。
今年も・・・またヤラれた・・・と、ならないように、早めのイノシシ対策を実施しましょう。
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