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通信カメラ×AIでクマの出没を監視する!「FieldViex」の検知精度と現場運用の実際

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昨年からトレイルカメラの静止画・動画データ向けAI検出サービスを提供してきましたが、このたび通信カメラの画像管理アプリ「FieldViex」にAI検出機能を搭載し、実際のプロジェクトでの運用を開始しました。
当社の哺乳類識別AIは全14種(作業中の人間を含む)に対応していますが、現在、お客様のご要望により「FieldViex」上でツキノワグマの捕獲檻を監視しています。今回は実務の中で、お客様から質問のあった事項を中心に、現場で運用する際の留意点を述べたいと思います。

1.ツキノワグマの「AI検知精度」はどのくらい?一言で言えない2つの理由

お客様からよく「ツキノワグマの検出精度はどのくらいですか?」とお問い合わせをいただきます。ただ、この質問に一言でお答えするのは難しく、正確な精度をお伝えするには以下のような設置環境や条件を確認する必要があるからです。

  • 通信カメラの機種は何か?
  • 撮影モードは静止画か、動画か?
  • 何メートル先のツキノワグマを検出したいか?
  • 設置場所に低木や草が生い茂っていないか?
  • カメラの設置高さや角度はどのくらいか?
  • 識別対象はツキノワグマ単独か、複数種か?

理由1:カメラの機種や夜間ライトによって写り方が大きく異なる

通信カメラの機種によってレンズやセンサーが異なるため、送信される画像・動画の画質や赤外線ライトの照射距離が異なります。また、直射日光があたる場所や、特に高温の条件では、撮影自体が不安定になりやすいカメラもあります。当社のAIは自社で販売している通信カメラに最適化して学習させているため、その他のカメラについては検証が不十分でお答えしづらいのが実情です。

画像:画質良好でお値段も手頃な「TREL4G-H」

理由2:「見落とさないこと」と「見間違えないこと」は別物

精度と一口に言っても、以下の2つの側面があります。

  • 出現したときにどの程度捉えられるか(検出率)
  • 捉えた結果、どれだけ正確か(正解率)

※検出率、正解率は本ブログ内の定義です。

遠くのクマや、草木に隠れたクマは見落としやすくなる(検出率)

検出率に一番影響するのは「距離」と「遮蔽物」です。ツキノワグマは黒くて丸く、特徴が少ないため、もともと検出が難しい種です。さらに身体の半分が草や低木に隠れると、検出率は落ちます。身体の大半が隠れているような中途半端な画像は誤検出を増やす要因になるため、あえて学習データから除外することで、誤検出が少なくなるように調整している側面もあります。
また、積雪地域などで、高い位置から急な見下ろし角度で設置した場合、当社が学習しているパターン(水平に近いアングル)と離れてしまい検出率が落ちますが、現在は学習データを増やして継続的に改善を図っています。

画像:ツキノワグマの信頼度の変化【 94% ← 91% ← 閾値以下】

クマと「黒いズボンの作業員」を見間違えないための工夫(正解率)

正解率ですが、カメラの数メートル前を通過した場合、動画撮影であれば、ほぼ100%検出します。これは数千〜1万枚規模の映像を学習したAIであれば標準的な挙動です。当社では昼夜双方の画像を均等に学習させているため、時間帯を問わず検出できます。
しかし問題は「複数種を同時に識別する場合」です。例えば、ツキノワグマ・カモシカ・イノシシ・ニホンジカ・人間を同時に識別する学習モデルを使うと、特徴が被るため誤検出が起こりやすくなる場合があります。
特にツキノワグマは「立つ」「座る」といった動作をするため、 人間(作業員)と誤検出しやすい 特徴があります。先日もツキノワグマの検出が多発したため確認したところ、黒いズボンをはいた作業員でした。
こうした事態を防ぐため、プロジェクトごとにAIの信頼度(閾値)を引き上げたり、人間を「ネガティブデータ(対象外)」として検出しないようアルゴリズムを修正したりと、プロジェクトの要望に応じて個別最適化を行っています。

このように設置環境や識別対象などの条件によって結果が大きく変わるため、前提条件なしに精度をお答えすることは難しいというのが、自らの現場で実証実験を重ねてきた私たちの実感です。

2.画像管理アプリ「FieldViex」の仕組みと使いやすさへのこだわり

FieldViexの話に戻りますが、本アプリは送信されてきた 静止画と動画の両方のAI検出に対応 しています。

  • 静止画: 1枚の画像に対してバウンディングボックス(検出枠)と信頼度(%)を表示。
  • 動画: 動画内から複数のフレームを抜き出して識別し、総合的に種名を判定。

動画は複数コマで総合判定するアルゴリズムを採用しているため、サムネイルにはバウンディングボックスを表示しない仕様にしていますが、静止画よりも種の判定精度が高くなります。

画像:静止画には種名と信頼度が表示される(タイル表示画面)

アプリの軽快な動作を維持するために「AIの処理専用機器」を分離

また、処理の仕組みにもこだわりがあります。一般的なAIサービスは高性能なクラウド上で処理することが多いですが、FieldViexでは 高速な「専用エッジAIデバイス(AIゲートウェイ)」を経由して処理 しています。
アプリのメインサーバーとAI処理部分を完全に分離しているため、AI機能が必要な方だけがオプションでAIゲートウェイを申し込む形にできます。なぜこのような仕様にしたかというと、当社のお客様を含め「AI機能は不要で、自分で種を確認するからとにかく軽快に動作する管理アプリがほしい」という方が大半だからです。もちろん、防犯カメラによる24時間の連続検知など、長時間の動画を解析したいというご要望があれば、個別にシステムを構築することも可能ですが、常時、多くの電力を消費するのでツキノワグマの出没監視や捕獲檻(箱わな)の監視を目的とする場合には、待機中の消費電力が少なく、電源のない場所でも長時間稼働する通信カメラの設置が現実解の場合が多いです。

「登録カメラの位置がわかる」地図機能も最低限の表示機能にとどめていますが、途中でカメラの位置を変更しても変更履歴がしっかりと残るように設計するなど、調査・研究目的にも配慮しています。地図による可視化機能は、アプリの挙動を遅くする原因にもなりますので、基本的にデータはCSVで出力し、QGISなどの専門ソフトで解析することをお勧めしております。

画像:シンプル機能を重視した「カメラ設置マップ」

3.【実際の現場から】クマ捕獲檻の見守りと今後の取り組み

クマが写ったらすぐにメールでお知らせ

現在実地で動かしているのは、「多少の誤検出があっても良いので、ツキノワグマと疑わしい個体が映ったらメールで通知してほしい」というご要望に合わせてカスタマイズしたAIです。このAIを用いてツキノワグマの捕獲檻の監視を行っています。
捕獲檻の前に現れるツキノワグマは身体がはっきりと写るため、基本的には、ほぼ100%検出できます。設置当初は猟友会の方や点検作業員をツキノワグマとして検出してしまうことがありましたが、現在はこれらの人物データをネガティブデータとして学習させ、精度を高めています。

画像:FieldViexでツキノワグマの出没状況を監視(標準表示画面)

地区ごとのグループ分けと安心の国内サーバー

捕獲檻をFieldViexで監視する場合、1つのアカウント内でカメラを「西区」「東区」「北区」「南区」のようにグループ分けできるため、管理者にとっても非常に便利です。
また、FieldViexは信頼性とセキュリティ面にも配慮して開発しています。使用しているAIゲートウェイは安心の日本製で、国内サーバーを使用し、二段階認証を採用するなど情報セキュリティ対策を高めています。

クマ対策の実証実験にご協力いただける自治体様を募集中!

今年は実証実験の中で本システムを活用し、現場での運用と改良を進めております。あわせて、ツキノワグマなどの鳥獣対策や捕獲檻の監視において、実証実験にご協力・ご参加いただける行政機関・自治体様を募集しております。通信カメラの設定に自信のない方には専用の設定手順マニュアルをご用意し、お電話等でのサポートも実施しております。また、SIMカードのご契約が難しい自治体様には通信カメラと併せてレンタルも行っております。ご興味がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いた人

印部 善弘

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