【FieldViex】アライグマAI検知×リアルタイム通知で防除を効率化!蔓延地域における持続可能な低密度管理の実現
投稿日:2026年9月24日
投稿日 : 2026年08月31日
更新日 : 2026年10月01日

こんにちは、(株)地域環境計画の印部です。
昨年からトレイルカメラの静止画・動画データ向けAI検出サービスを提供してきましたが、このたび通信カメラの画像管理アプリ「FieldViex」にAI検出機能を搭載し、実際のプロジェクトでの運用を開始しました。
当社の哺乳類識別AIは全14種(作業中の人間を含む)に対応していますが、現在、お客様のご要望により「FieldViex」上でツキノワグマの捕獲檻を監視しています。今回は実務の中で、お客様から質問のあった事項を中心に、現場で運用する際の留意点を述べたいと思います。
お客様からよく「ツキノワグマの検出精度はどのくらいですか?」とお問い合わせをいただきます。ただ、この質問に一言でお答えするのは難しく、正確な精度をお伝えするには以下のような設置環境や条件を確認する必要があるからです。
通信カメラの機種によってレンズやセンサーが異なるため、送信される画像・動画の画質や赤外線ライトの照射距離が異なります。また、直射日光があたる場所や、特に高温の条件では、撮影自体が不安定になりやすいカメラもあります。当社のAIは自社で販売している通信カメラに最適化して学習させているため、その他のカメラについては検証が不十分でお答えしづらいのが実情です。

精度と一口に言っても、以下の2つの側面があります。
※検出率、正解率は本ブログ内の定義です。
検出率に一番影響するのは「距離」と「遮蔽物」です。ツキノワグマは黒くて丸く、特徴が少ないため、もともと検出が難しい種です。さらに身体の半分が草や低木に隠れると、検出率は落ちます。身体の大半が隠れているような中途半端な画像は誤検出を増やす要因になるため、あえて学習データから除外することで、誤検出が少なくなるように調整している側面もあります。
また、積雪地域などで、高い位置から急な見下ろし角度で設置した場合、当社が学習しているパターン(水平に近いアングル)と離れてしまい検出率が落ちますが、現在は学習データを増やして継続的に改善を図っています。

上記画像の詳しい物体検知の記事は「ツキノワグマ対策/物体検知AIでできること」に詳しく記載しております。
正解率ですが、カメラの数メートル前を通過した場合、動画撮影であれば、ほぼ100%検出します。これは数千〜1万枚規模の映像を学習したAIであれば標準的な挙動です。当社では昼夜双方の画像を均等に学習させているため、時間帯を問わず検出できます。
しかし問題は「複数種を同時に識別する場合」です。例えば、ツキノワグマ・カモシカ・イノシシ・ニホンジカ・人間を同時に識別する学習モデルを使うと、特徴が被るため誤検出が起こりやすくなる場合があります(基本的には複数種を学習することで精度が上がります)。
特にツキノワグマは「立つ」「座る」といった動作をするため、 人間(作業員)と誤検出しやすい 特徴があります。先日もツキノワグマの検出が多発したため確認したところ、黒いズボンをはいた作業員でした。
こうした事態を防ぐため、プロジェクトごとにAIの信頼度(閾値)を調整したり、人間を「ネガティブデータ(対象外)」として検出しないようアルゴリズムを修正したりと、プロジェクトに応じて個別最適化を行っています。
しかし、どれほど現場に合わせた個別最適化を重ねていたとしても、AIに100%の信頼を寄せるのは非常に危険です。AIは万能ではなく、あくまで人手を補う「優秀な補助役」に過ぎません。現場の安全を確保するためには、AIの通知を目安としつつ、人の目による最終確認や物理的な対策を必ず組み合わせる姿勢が不可欠です。
FieldViexの話に戻りますが、本アプリは送信されてきた 静止画と動画の両方のAI検出に対応 しています。
動画は複数コマで総合判定するアルゴリズムを採用しているため、サムネイルにはバウンディングボックスを表示しない仕様にしていますが、静止画よりも種の判定精度が高くなります。

また、処理の仕組みにもこだわりがあります。一般的なAIサービスは高性能なクラウド上で処理することが多いですが、FieldViexでは 高速な「専用エッジAIデバイス(AIゲートウェイ)」を経由して処理 しています。
アプリのメインサーバーとAI処理部分を完全に分離しているため、AI機能が必要な方だけがオプションで「AIゲートウェイ」を申し込む形にできます。なぜこのような仕様にしたかというと、当社のお客様を含め「AI機能は不要で、自分で種を確認するからとにかく軽快に動作する管理アプリがほしい」という要望が少なからずあるからです。もちろん、防犯カメラによる24時間の連続検知など、長時間の動画を解析したいというご要望があれば、個別にシステムを構築することも可能です。ただし、常時、このようなシステムの構築は多くの電力を消費するので、ツキノワグマの出没監視や捕獲檻(箱わな)の監視を目的とする場合には、待機中の消費電力が少なく、電源のない場所でも長時間稼働する通信カメラの設置が現実解の場合が多いです。
「登録カメラの位置がわかる」地図機能も最低限の表示機能にとどめています。アピールポイントとして、途中でカメラの位置を変更しても変更履歴がしっかりと残るように設計するなど、調査・研究目的で利用する場合にも配慮しています。地図による高度な可視化機能は、アプリの挙動を遅くする原因にもなりますので、基本的にデータはCSVで出力し、ArcGISやQGISなどの専門ソフトで解析することをお勧めしております。

現在実地で動かしているのは、「多少の誤検出があっても良いので、ツキノワグマと疑わしい個体が映ったらメールやLINEで通知してほしい」というご要望に合わせてカスタマイズしたAIです。このAIを用いてツキノワグマの捕獲檻の監視を行っています。メールやLINEグループへの通知はFieldViexの管理者権限で設定できます。
捕獲檻の前に現れるツキノワグマは身体がはっきりと写るため、基本的には、ほぼ100%検出できます。設置当初は猟友会の方や点検作業員をツキノワグマとして検出してしまうことがありましたが、現在はこれらの人物データをネガティブデータとして学習させ、精度を高めています。

捕獲檻をFieldViexで監視する場合、1つのアカウント内でカメラを「西区」「東区」「北区」「南区」のようにグループ分けできるため、管理者にとっても非常に便利です。
また、FieldViexは信頼性とセキュリティ面にも配慮して開発しています。使用しているAIゲートウェイは安心の日本製で、国内サーバーを使用し、二段階認証を採用するなど情報セキュリティ対策を高めています。
今年は実証実験の中で本システムを活用し、現場での運用と改良を進めております。あわせて、ツキノワグマなどの鳥獣対策や捕獲檻の監視において、実証実験にご協力・ご参加いただける行政機関・自治体様を募集しております。通信カメラの設定に自信のない方には専用の設定手順マニュアルをご用意し、お電話等でのサポートも実施しております。また、SIMカードのご契約が難しい自治体様には通信カメラと併せてレンタルも行っております。ご興味がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
ツキノワグマの出没監視で活躍する「FieldViex」ですが、通信型トレイルカメラを一元管理できる強みを活かし、さらに幅広い現場での導入が進んでいます。
特定外来生物であるアライグマは、農作物被害や生態系破壊、家屋侵入など全国的に大きな問題となっています。
広大な敷地を管理する公園の指定管理者様向けに、園内の防犯やトラブル防止ツールとしての導入も始まっています。
「私たちの現場が抱えるこんな課題にも使える?」「まずは試験的に数台導入してみたい」など、少しでもご興味をお持ちいただけましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
ツキノワグマの監視から始まり、アライグマ等の外来種対策、そして広大な施設の防犯・環境保全まで。通信型トレイルカメラのデータをクラウド上で一元管理できる「FieldViex」は、アイデア次第でさまざまな地域課題の解決に応用できます。
それぞれの現場や目的に合わせた、最適なカメラの活用方法をご提案させていただきます!
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