野生動物の専門家による鳥獣害対策のためのブログ。野生動物の生態、観察、忌避、捕獲まで、被害を防ぐために役立つ情報を発信しています。

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鳥獣被害対策の『講習会』を実施しました

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こんにちは「鳥獣被害対策.com」の唐橋です。

今日の鳥獣被害対策の知恵袋は、弊社が講師
を務めさせていただいた鳥獣被害対策の『講
習会:イノシシ編』のお話です。

今年に入り、北関東~東北の数か所で自治体
からの依頼を受け、鳥獣被害対策の研修会や
講習会で講師を務める機会をいただきました。

講習会の内容は、自治体の被害状況に応じて、
イノシシなどの特定の動物に特化したものや、
イノシシやシカ、クマ、サルなどの被害をも
たらす動物全般に関するものなど様々でした。

参加者は、自治体の鳥獣被害対策ご担当者様
や地域で対策を行っているハンターさん、住
民の方など、鳥獣被害の最前線で日々対策に
取り組まれている方々がお越しくださいまし
た。

今回のブログでは、皆さんの関心が特に高か
った「イノシシ」の講習会について詳しくご
紹介いたします。

1.イノシシの生態および調査方法について
2.被害対策について
3.被害対策機材について

それぞれの内容について、講義の概要をご紹
介します。


写真 イノシシ対策の講習会の様子です。
茨城県・栃木県内一部エリアの自治体で鳥
獣被害対策ご担当者の方を対象に講義を行
い、約30名の方にご参加いただきました。

【1.イノシシの生態・調査方法について】
対策は、まずは相手を知ることから始まります!

1)イノシシの生態とは?
・食べるものは、ドングリなどの植物から昆
虫の幼虫やカエルなどの動物まで、さまざ
まなものを食べる雑食性です。

もちろん、農作物も格好のエサになります。
例えばタケノコ、稲の穂、サツマイモ、柑
橘類などです。

と、いうことは・・・何も対策をしなければ、
農作物はイノシシに食べられてしまうとい
うことです!

・住んでいるところは、山地から平野部にか
けての広い範囲になります。食べるものの
豊富な里山は、イノシシにとって暮らしや
すい場所です。

また、イノシシは足が短く雪の多い場所で
は暮らすことができないと考えられてきま
したが、近年では多雪地域を含め全国的に
分布の拡大しています。

と、いうことは…何も対策をしなければ、
イノシシはどんどん集落周辺にやってきて
しまうということです。

・1年に1度、平均4~5頭の子供を産み、メ
スが子育てをします。生まれたメスの子供
は母親と群れを作って暮らし、オスは1~2
年で母親のもとを離れます。

・夜行性と思われがちですが、基本的には昼
行性で、集落の周辺では日没から夜明けに
かけて行動します。

・鼻先で物を持ち上げるパワーや、走るスピ
ード、また頭がよいなど、油断できない能
力を持っています。

2)なにをどう調べるの?
相手を知るポイントは2つあります!

“どこに・どのくらい、イノシシがいるのか”
(=生息状況)
“どこに・どのくらい、被害があるのか”
(=被害状況)

この2つを事前に知ることで、対策機材の有
効活用や効率的な被害対策を実施することが
できます。
また、対策に必要な予算も検討することがで
きます。

まずは、イノシシが残した痕跡(足跡など)
を探し、場所や数、痕跡の種類を記録します。
その傾向を読み取ることで、生息・被害状況
を把握するという方法です。

集落や里山内の痕跡を見ると、痕跡の数が多
い場所ほどイノシシが多く出没していること
が分かります。

このようなところで自動撮影カメラを使うと、
エサさがしや泥浴びなどの行動や、利用する
時間帯、群れか単独かなどの詳細な情報も分
かります。

農地周辺で調査をすると、どこでどの作物が
食べられているのか、どこから来るのか(け
もの道)などが分かります。

同様に自動撮影カメラを使うと、どこから侵
入するかなどもより詳細が分かり、被害対策
を立てる際の方法や優先順位を決めるのにと
ても役立ちます。

自動撮影カメラは「鳥獣被害対策.com」でも
取り扱っております。

⇒自動撮影カメラ

さらに、市町村や県レベルなど広域な状況把
握にはアンケート調査が役立ちます。
この状況把握は、主に自治体が現状把握のた
めに実施する手法になります。

なお、アンケート調査は、生息・被害状況調
査の事前調査としても利用することができ、
自治体の効率的なイノシシの保護管理のため
の基礎資料にもなります。

【2.被害対策について】
イノシシの出没や被害の状況が分かったら、
いよいよ対策です!

そもそも、なぜイノシシは農作物に被害をも
たらすのでしょうか?

答えは簡単です。
そこに“エサがあり、食べることができる”
からです。

そのため、
①エサがあると思われないようにする、
②あっても食べられないようにする、
この両方で対策をすることが重要です!

さて、そこでどうするかというと…

①イノシシにとって魅力がなければ畑や集落
にやってくることはありません。

~なので~
・エサが見えないよう柵を立てたり目隠しを
する!
・放棄作物は撤去し、自然に生えている植物
もイノシシが食べるものは刈り取る!

②仮に畑などに魅力があっても、アクセスで
きなければ被害もありません。

~なので~
・集落周辺のイノシシが潜める藪や草むらの
草刈りをする!
・柵などの侵入防止対策をする!

イノシシにそこへ行きたいと思わせない、行
きたいと思ってもそこにたどり着かせない!

シンプルですがイノシシの被害対策はこれに
尽きると思います。

また、ポイントとなるのは草刈りなど、ひと
りでは大変なことでも集落単位で協力して対
策にあたることが大切です。

鳥獣被害対策.com」では、防護柵などの
様々なツールを販売しています。それぞれの
効果的な使い方も詳しく説明していますので、
ぜひご参考にしていただければ幸いです。

イノシシ対策用電気柵⇒
https://www.choujuhigai.com/fs/chiikan/c/boar-package

イノシシ対策用柵⇒
https://www.choujuhigai.com/fs/chiikan/c/boar-fence

イノシシ対策用ワイヤーメッシュ柵⇒
https://www.choujuhigai.com/fs/chiikan/boar-fence/to0001

イノシシ対策用ネット柵⇒
https://www.choujuhigai.com/fs/chiikan/c/boar-guard-net

そして、これらの対策を行っても、まだやっ
てくるイノシシに対しては捕獲を行います。

捕獲は、銃のほか、囲いわなや箱わな、くく
り罠などの“わな”による方法があります。

講習会では、主に“わな”による捕獲について
詳しくご説明しましたが、それぞれのわなで
メリット・デメリットがあります。

例えば、箱わなは、農地付近に設置すると、
被害をもたらすイノシシを選択的に捕獲でき
ることがメリットです。

一方、捕獲までに時間がかかることや、ウリ
ボウが先に捕獲されるとそれを目撃した成獣
が学習してしまうことなどのデメリットがあ
ります。

つまり、大切なことはしっかりと成獣を獲る
ことと、獲り逃してイノシシに学習の機会を
与えないことです。

イノシシ捕獲用箱わな・くくり罠
https://www.choujuhigai.com/fs/chiikan/c/boar-boxtrap-big

【3.被害対策の機材について】
講習会では、講義で説明した電気柵や自動撮
影カメラなどの対策機材を実際に見ていただ
くとともに、使い方を紹介する場も設けまし
た。


写真 実際のわなや電気柵などを使い、設置・
使用方法をご紹介。写真は箱わなにスタッフ
が入り、実際に罠を作動させるところです。

これから被害対策を始める方の中には、自分
でも使いこなせるか分からない、本当に効果
はあるのかなぁ…など、不安に思うこともあ
るかと思います。

弊社が開催する講習会では、実際に機材を触
ってもらいながら使用方法をご説明すること
で、参加者のみなさまに具体的な対策のイメ
ージを持っていただき、対策に取り組んでい
ただけるようデモンストレーションを行って
います。

講習会に参加された方からは、実際に対策機
材を見て、触って、体験・経験したことで、
鳥獣被害対策への理解が深まったとのお声を
いただいています。

講習会の開催については、参加者の方や講習
会の開催時間に合わせた講義内容やプログラ
ムをご用意いたします。

ご質問等ございましたら、お気軽にお問い合
わせください。

以上がイノシシ対策の基本のお話になります。

次回はシカ対策について、お話ししたいと思
います。

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