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サル捕獲の留意点~小型の捕獲檻罠による効率的な捕獲~

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こんにちは「鳥獣被害対策.com」の千々岩です。

今回は、ニホンザルの捕獲についてのお話です。

ニホンザル
画像:ニホンザル

サル捕獲を小型檻罠で行う4つの利点

ニホンザルを捕獲する方法は様々ありますが、小型檻による捕獲は非効率と受け止められがちです。
しかし、群れの生息状況や群れの特性によっては、効率的に捕獲できます。

その利点として、以下のことが挙げられます。

利点1:作業負担の軽減

大型檻では、際限なく檻の維持管理や餌の設置が必要ですが、小型檻は短期の取り組みで捕獲に至るので、作業負担を抑えることができます。

利点2:維持管理コストの低減

檻の維持管理や設置餌の金銭コストを下げることができます。

サル捕獲用箱罠
画像:サル捕獲用箱罠

利点3:誤捕獲の減少

檻が小さく、群れの動きに合わせて移動設置できるので誤捕獲を減らし、安全が確保できます。

サルを罠で捕獲した様子
画像:サルを罠で捕獲した様子

利点4:住民連携の促進

電波発信機による群れ確認情報の活用により、追い払いや見張り等の取り組みに理解が得られ、住民連携の促進につながります。

捕獲したサルの首に発信機を取り付けている様子
画像:捕獲したサルの首に発信機を取り付けている様子
サルの首輪から発する電波を受信し、群れの位置を確認している様子
画像:サルの首輪から発する電波を受信し、群れの位置を確認している様子
地域住民によるサルの情報共有①
画像:地域住民によるサルの情報共有①
地域住民によるサルの情報共有②
画像:地域住民によるサルの情報共有②

サルの行動を地図に記録し、地域住民で情報を共有します。

サル捕獲用小型檻を使用する際に注意するポイント

このような利点のある小型檻を使用する際の留意点を以下に記します。

対象群れの特性や捕獲対応に関する事項

この捕獲は、農作物への依存が高く、農地利用時間が長い群れに適した方法です。

生息群が多く、生息密度が高いほど、餌の取り合いが起きるので捕獲しやすく、効果的な捕獲方法と言えます。

農地や隣接する山林などに長時間留まる群れに適しています。

捕獲檻への警戒度合いは群れによって異なります。未経験の群れのほうが鈍感ですが、度重なる捕獲を行っても過敏にならない群れもあります。

その理由は、まだ分かっていませんが、群れの構成メンバーのなかで、どの個体が間引かれるかが影響している可能性があります。
警戒心を増やさないためには、檻個体を引き出す作業を群れに見られないことが重要です。

若い雄は農業被害を出す主犯格のメンバーです。雌雄に関わらず若い個体を取ることで群れ頭数の減少を図り、将来的に群れを縮小させるのも一つの方法です。

群れが分裂すると被害対策が必要となる対戦相手が増加します。
追い払い、防除の負担を増やさないために群れの分裂を避けるのが得策です。

そのため、群れの分裂を招く可能性のある、特に体の大きなサルや、警護役と思われるサルは殺処分を避け、お仕置き放獣により人への恐怖心を植え付けることも対策の一つです。

次に捕獲に関する留意事項です。

檻選定

檻は軽く、軽トラックを用いて一人で移動設置出来るものをお薦めします。
(サイズ例:奥100㎝・高70㎝・幅60㎝)

餌選定

使用する野菜は、普段から畑で栽培しているサルにとって馴染みのある野菜にし、新鮮なものを用います。

サル捕獲罠に餌を仕掛ける
画像:サル捕獲罠に餌を仕掛ける

餌は、冬季・夏季にかかわらずカボチャやサツマイモ(冬季はタマネギも有効)等の甘いものを使用します。

特に、冬季は水分の多いミカン類等の果実よりも水分の少ない甘い野菜がお薦めです。体が冷えるのを嫌がるのか、冬季には水分の多い果実を好まない傾向があります。

設置場所

檻の設置場所は、サルが長時間滞在する場所を選びます。
採食場所となっている農地や隣接する林、休息場所や止まり場となっている林が適地です。

檻構造

仕掛けは踏み板ではなく、餌の引張りや取り上げにより作動するものが効果的です。

餌設置

できれば車内からサルを観察し、仕掛けがバレていないか確認します。

もし、サルが用心しているようなら、より感度が良い仕掛けを導入します。

仕掛けにつなげる餌は、金網などで覆い、サルが容易に食べられないようにします。
仕掛け用の餌は多いほど誘引力が高まるので捕獲が期待できます。
試行錯誤することでサルが仕掛けを弾くようにします。

檻の周囲に寄せ餌を撒き、檻の中へと導きます。
この時に用いる撒き餌は、仕掛け餌よりも味が落ちる物を使い、サルが食べ足りない程度の餌量にします。

これまでの説明を整理した「小型檻設置作業の流れ」は、以下のとおりです。

小型檻設置作業の流れ

1.サルの行動把握①

聞き取り情報、テレメトリー調査による群れの移動ルートと泊まり場、休息地、採食地を把握します。

2.サルの行動把握②

群れを発見し、その日に群れが移動する方向を把握します。

3.檻の設置

a)群れを監視しつつ檻を移動する場合
群れの動きに合わせ、先回りをして捕獲候補地に檻を設置します。

b)群れ出没情報を頼りに既存設置檻を活用する場合
群れの動きに合わせ、先回りをして既存の設置檻に仕掛けを施します。

4.檻の餌

餌(甘みの強い野菜)と仕掛けを施す。餌は新しい物を使用します。
※水分の少ない甘い野菜を用いると効果的です。

5.誘因用の餌

仕掛け餌よりも質の落ちる餌を使用するのがポイントです。

6.モニタリング(行動監視)

サルの反応を観察し、仕掛けや設置方法の改善を行います。

必要に応じ、餌についてもより誘引性の高いものを検討し、捕獲効率を上げることも検討します。

7.サルを捕まえたら

サルが捕獲できた時には、捕獲檻の傍に群れが居る時は、捕獲個体の回収を避けます。
捕獲処置の作業を群れに観察されると危険性を認知され、捕獲効率が悪くなる可能性があります。

処置は群れが居なくなった時か追い払った後に行ないます。

以上、小型捕獲檻による効率的な捕獲を行う上での留意点についてお話ししました。

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この記事を書いた人

千々岩 哲

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