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身近になった!?ツキノワグマ

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こんにちは「鳥獣被害対策.com」の津田です。

今日の“鳥獣害対策の知恵袋”は、今年ずいぶんと話題になった、ツキノワグマ対策についての話題提供です。

昨年11月12日に、仙台市で「東北の野生動物管理を考える」というシンポジウムに行ってきたので、そこから得た情報も含めて、お伝えしたいと思います。

人身事故とその対策

『ツキノワグマ』と言えば、昨年5月から6月にかけて、秋田県鹿角市で起きた悲惨な事故が記憶に新しいのではないでしょうか。

短期間に、狭い範囲で次々と人が襲われ、しかも食害されていたというのに、私は驚きました。

ツキノワグマの被害に遭われた方々は、山菜ネマガリタケ)採りの最中だったようです。

ニュースを聞いて、事故が相次ぐなか、なぜ地域の人々はその場所へ山菜採りに行くのか?

不思議に思いました。

その反面、自然の恩恵を享受しながら生活してきた今までの豊かな暮らしを、簡単に変えることは難しいことなのだ、とも思いました。

ツキノワグマが人を食べるというのは元禄時代(1688~1704年)の記録にもあるようです。

全ての個体が人を食べるわけではないのでしょうが、そういった個体は昔からいたようです。

ツキノワグマの保護管理に携わっている方によると、残念ながら、人身事故が防げる絶対の方法はないそうで、すでに広く知られている、いろいろな方法をおこなうことが大事とのことでした。

今は冬眠に入ったツキノワグマですが、冬眠明けとなる春は、ツキノワグマに出合うことが増える時期です。

対策のほんの一部ですが、山に入る時の注意事項をご紹介します。

今一度、シミュレーションしてみてください。

ツキノワグマへの対策

  • 鈴やラジオで自分の存在をアピールする。
  • 複数人で入山する。
  • 食品や生ごみは必ず持ち帰る。
  • 出合ってしまった時のために、ツキノワグマ撃退スプレー、なた、爆竹などを携帯する。
  • 出合ったら、まず落ち着く。そして、ツキノワグマを見ながらゆっくり後退する、静かに語りかけながら後退する。
  • 背中を向けて逃げない。
  • 襲われたら、両腕で顔面や頭部を覆い、直ちに伏せる。

※ツキノワグマ対策の詳しい情報は、環境省のホームページ等で提供されています。

★クマ撃退スプレー商品ページ⇒
https://www.choujuhigai.com/fs/chiikan/c/bear-repellnent

★クマ鈴商品ページ⇒
https://www.choujuhigai.com/fs/chiikan/c/bear-others

仙台市のツキノワグマ

私は、一昨年から東北支社勤務となり、東京都から宮城県仙台市に移住しました。

仙台市は比較的“都会”、のイメージを持っていましたが、東北支社があるのは仙台市北部で、最寄り駅から車で5分も走れば、田畑や雑木林が広がります。

東京と比べると、野鳥の種・数が多く、自然が身近に感じられますが、今まで、さすがに“ツキノワグマ”を身近に感じることはありませんでした。

しかし!

昨年10月5日、驚いたことに、わが家から直線距離で2km程度の中学校で、ツキノワグマの出没情報がありました。

深夜に中学校のフェンスを登っていたのだそうです。

今年は、仙台市でのツキノワグマの出没情報の多さに加え、出没地が市街地から近いことに、とても驚いています。

仙台市が公表している「市街地でのツキノワグマの出没情報」を地図に示してみました。

なんと、仙台駅から4kmの範囲に出没地点が4ヶ所もありました。

地図のとおり、仙台市は西側に東北自動車道が通っているのですが、西側の山の方から東北自動車道を通過して、東北自動車道よりも東側(市街地)での出没があります。

東北自動車道の西側から東側への移動ルートを、自動撮影カメラによって調査された方によると、ツキノワグマは東北自動車道の下部にある、

  • 水路
  • トンネル
  • 河川

等を移動ルートとして利用しているのだそうです。

仙台市によるとツキノワグマの通報件数は、

  • 2013年:4~9月で162件、年間合計174件
  • 2014年:4~9月で183件、年間合計190件
  • 2015年:4~9月で88件、年間合計99件
  • 2016年:4~9月で212件

とのこと。

2016年は、既に9月末時点で2013年~2015年の年間合計を上回るペースです。

ツキノワグマは、冬になると冬眠しますが、中には冬眠しない個体もいるようです。

確かに、私も1月の厳冬期に、神奈川県の山中でツキノワグマの足跡を見たことがあります。

痕跡から動物を特定する>>

ツキノワグマの冬眠時期までは、まだ少し時間があるので、出没状況などに気を付けて、生活していきたいものですね。

トレイルカメラの選び方 完全ガイド

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この記事を書いた人

津田 朋香

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